太古のかおり An ancient scent


「レイ兄さん」
本当に街中は騒々しいし空気もわるいよなぁ
「パル婆さん」
本当だね、この先どうなるのかね、
「レイ兄さん」
きっと、もう空気の良い時代は来ないのかもね。
「パルばあさん」
本当かね?
「レイ兄さん」
うん、そんな気がする。でもね、こんな土地でも人間が進化する以前は太古の森だったと
聞いたよ、
「サンくん」
えー、本当、すごいね、森って木が一杯だったという事なの?想像つかない、
「パル婆さん」
それじゃ、空気もよかったんだろうね、
「レイ兄さん」
そういうことなんだろうね、たぶん
「パル婆さん」
いいねー
「サンくん」
そうなんだ、
「レイ兄さん」
きっと森があると空気が美味しくていいんだろうなぁ
「サンくん」
でも、ここが森だったなんてわからないなぁ、ホント
いつもかわらない世界、あーいつもなにも変わらない世界、・・・・
また闇が近づいてくる、どこも変わらない世界、景色、つらい感じる
不思議だ、なんだか、こんな思いを思い出した、でも、それは今ではない記憶、
 それは、そう、以前の生の思い出!そうかそれは、幾つもの生の記憶みたい?
ここで命が終わっても、次の生もこの景色を見て同じことを思うのだろうな・・・
「サンくん」
あー、驚いた、なんだろう?
「サンくん」
なんだろう?まるで自由にならない世界を感じたみたい
森の世界は自由??・・・
「レイ兄さん」
あー、起きた。今日もうっとうしい世界にでかけてくるか・・・
「サンくん」
レイ兄さん、でもね、良くないこともあるけれど、真面目に生きて頑張れば
良い事にもめぐりあえるし、自由に歩き回って良いこに出会うチャンスも
あるよね、ここは、森の中ではないものね。
「レイ兄さん」
そうだな、探す自由はある、一生懸命に探せば見つかる幸せもあるよ、きっとね。
太古のかおり、終わり
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